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2011-01-19

学ぶ

人には、いろいろな学び方がありますが、S君は、何度も同じ動作を繰り返して学んでいきます。
こういうと当たり前やんと思われるかもしれませんが、この「同じ動作」というのが、
とても精度の高い「同じ動作」でないといけません。
例えば、学校の教室に入って、自分の席まで行ってランドセルを下ろす時、
右肩から下ろすのか、左肩から下ろすのか、この左右が決まっているほど高精度でないといけません。
なぜなら、それが異なると、ランドセルのふたを開ける時のカギの位置が左右反対になるので、
そのことによって左右の手の動かし方が変わり、わからなくなるからです。
私たちは、ランドセルを下ろして中に入っている教科書を机の中に入れるという目的さえわかれば、
それをこなすための体の動かし方をいくつも知っているので、制度が高い「同じ動作」を必要としません。
でもSくんは、その目的を理解してそこに到達するための体の動かし方を考えて行動しているのではなく、
いつも決まった順番通りに、決まった動作を重ねていくことで行動を完成させています。

例えば、地理を知らない、言葉が通じない、初めて訪れる外国に行く時をイメージしてほしいのですが、
その国の空港から駅まで行かなければならないとします。
空港から駅までの1つの行き方を教えてもらったとしたら、多くの人は、その通りに行こうとすると思います。
その行き方の途中で、教えてもらった道の1か所が工事をしていて通れない、
しかも、言葉も通じないし地図もないとすれば、どうでしょうか。とても混乱しますよね。
Sくんにとって右肩からと左肩からが変わることは、外国で道のりの途中に工事が行われているのと同じで、
そんな工事がないように、活動の手順を整理しておくことが成功への絶対条件になります。
右肩からか、左肩からか、それで成功体験を積めるのであれば、
それがわかる私たちにはお安いご用で、その環境をどんどん整えてあげるべきなのです。
もちろん、そんな工事があってもへっちゃらになるよう発達を促していくことは必要ですが、
発達とは、順序よく小さな積み重ねをしていくものなので、
今現在の発達と合わない方法で教えていくことは、無駄な(乗り越えられない)失敗を重ねさせ、
こどもに、人から学ぶことは楽しくない、学校は楽しくないという気持ちを植え付けてしまいます。

失敗は成功のもとですが、それは、乗り越えられる失敗である場合に限ります。
教えるという立場の人は、それが、成功のもととなる失敗になるかどうか見極める力が必要で、
「こどもの力を信じて…」と、体裁のいい言葉を使って何でもかんでもやらせるのは、
ただの大人の怠慢でしかないと思うのです。
そもそも、発達障害の有無に関わらず子どもの力は千差万別であり、
それぞれの子どもの学ぶ力に合わせて、どの子どもも学びが達成できるよう方法を考えていくことが、
療育、教育、保育の本質であると思います。

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