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2010-05-09

スクールトライアル初日

今年度から、5月から翌3月までと長丁場になったスクールトライアル。
これまでは、10月から翌3月までと、ちょっと物足りない気がしていたところを、
ようやく今年度から1年かけてすすめていくこととなりました。
さて、このスクールトライアル、その名の通り小学校にいくための準備クラスです。
①集団で活動するスキルの習得(先生が話し始めたら注目するとか、答えがわかっても手をあげて当てられてから答えるとか)
②休み時間の過ごし方(教室のように大したおもちゃがない場所で、こども同士で遊ぶ力)
③学校特有の指示や行動の理解(「そらがきしましょう。」とか、机の中に教科書類を入れるとか)
以上の点を練習して就学し、初めての学校環境でわかることがいくつかあることによって、
混沌としてわかりにくい環境の中でも、それを道しるべに過ごし、
それを糸口にわかることを増やしていけるように設定されたクラスです。

さて、昨日、今年度の初日を迎えました。
今年からは、より通常の小学校の環境に近くなるように、長年、小学校教員をしていたスタッフを入れてのスタートです。
4月から連日、このカリキュラムを設定するために数十時間を費やし、リハーサルも行い迎えた初日ですが、
それでもスタッフ全体が緊張しています。
新しいクラスとの出会いに楽しみ半分、ちゃんとやってくれるかな…と不安半分、
「最初からビシッと。できない言い訳は聞きません。」と、初日から厳しい私のプレッシャー。
そんな緊張した空気を和ませてくれるのは、やっぱり子ども達。
期待以上に頑張ってくれたり、期待はずれにずっこけてくれたり、
どちらにしても子ども達の言動は、私たちスタッフのやる気をかきたてます。
「あんた、えらいや~ん!!!」と、もう少し課題をあげましょうと思ったり、
「おいおい、そこでひっかかるかぁ…」と、もう一度、課題を詰め直しましょうと思ったり、
子ども達の姿に私たちの頭の中で多くのことが駆け巡ります。

そんな初日に、早くも真剣勝負を挑んできた男子がいました。
実は、授業でも休み時間でも、一番よく動けていた彼でした。
工作の時間に指示されたことをやりたくないと、もちろんスタッフは引かない。
やらなきゃいけないことはやらなきゃいけない、これが集団活動で最も求められスキルだからです。
ここから2時間、根気比べです。
ちなみに、他の子ども達はどうするか、その子を待つことは基本的にしません。合わせません。
クラス担任は、何度か促してついてこなければ、クラス全体の流れをすすめます。
さて2時間の間、彼は、泣く、叫ぶ、投げる、破ると、できる限りの手段を使って、もがきました。
「おしっこ行く」「お腹痛い」「後でする」などなど、いろんなことも言いました。
最終的にスタッフと一緒にやらされて、終わった瞬間、やらされてしまったことに再び激怒。
そこからしばらく、「~作る(次回の工作の内容)」「帰らない」「靴はかない」と、
全てにNOと言い続けましたが、何とか帰途につきました。

真剣勝負をしていた彼本人とうちのスタッフ、激戦をくりひろげたわけですから、もちろんぐったりです。
そして、それを周りで見聞きしているこども達とスタッフも、同じように神経をすり減らしています。
それでも、ここは必ずやり通してと言い切るのは、子ども達は、必ず何とか頑張る力を持っているからです。
こども達にとって大変なことわかっていますし、私たちも(鬼のような私でさえ…)辛いのです。
ここで許してしまうほうが、お互いに楽です。
が、その積み重ねが、集団社会で生活できない大人に育てていきます。
許してしまうことは、その場その場だけをみれば、一見、子ども達のために尽くしているように見えます。
でも、尽くされ慣れてしまったこども達を、生涯みてくれる人や場所があるでしょうか。
それを確保したうえでのことならまだしも、それも無いのにやるべきことをやらないことほど無責任なことはありません。

とは言え、とっても気にしぃな私は、また次も来れるかなと心配でしかたないわけです。
(激戦中には、みじんにも見せませんが)
これを黙って見守った(この様子は中継でご覧いただいていますので)保護者の方にとっては、
最も過酷な時間だったはずだからです。
お家に帰る頃にメールをしたところ、次のようなお返事をいただきました。

『家で突然、「今日、こいのぼり、破いた。」と言いました。
そして、「もう、やぶかないよ。」と言っていました。
頭では、どうするべきなのかわかっているようです。
キッズパワーまた行くと言っています。
前半、みんなと走り回ったり、遊んだ事が楽しかったのだと思います。
私も、こういう事をさせてやりたかったと、Webカメラの映像を見てとても嬉しかったです。』

併せて、スタッフにお気遣いの言葉までいただきました。
本当は保護者の方が一番辛かったはずなのですが、また私たちがトライできるチャンスをいただき、
本当に嬉しいことです。

こども達は、楽しむ時間と厳しい時間の両方をきちんと作り、
また、それぞれがこども達の言動に合って提示されていることで
(休み時間は楽しめる時間、授業中ややってはいけないことをした時には許さない厳しい時間、)、
社会的に振舞い、活動を楽しむことが、必ずできるようになります。
これを学ぶことは、子ども達にとっても私たちにとっても大変なことであり、
そして黙って見守る保護者の方々にとっては非常に辛い場面が多々あります。
それでも、このチームが同じ目的に向かって力を合わせ、1年を過ごしていけば、
来春、きっとステキな入学式を迎えられることと信じています。頑張っていきましょう!



コメント ( 2 )件 | この記事のリンク

  • 名前:鬼理事長   投稿日時 : 2010.05.11 【URL】
  • タイムリーに良い記事を読ませて頂きました。

    我が家の自閉症兄ちゃんは
    高校3年となり残り少ない学生生活を送っています。

    社会に出るために
    高等部3年には多くの実習があります。
    今月末に予定されている実習は
    将来の進路に合わせて
    入所施設へ1週間お世話になる事になります。

    先日、実習の為面接に息子と担任と行ってきました。
    かなり古く建て増しが繰り返された施設の建物は
    迷路のようにゴミゴミして雑然としていました。

    息子にとって我慢できる時間と環境を
    はるかに超えた面接は
    息子をイライラさせ
    私自身ドキドキした時間でした。

    帰宅後、今回の実習に不安が募り
    担任へ短い手紙を書きました。

    「今回の実習は、私自身が不安を感じています」

    昨日、担任からの返事は
    「高校3年生です。不安を覚悟に変えてください」
    「今回の実習は、息子さんの頑張りを見せて頂きたいと
    考えております」
    と、短いものでした。

    行動問題を持つ息子の現状と障害福祉の現実を
    受け止めるしかないのかと
    半ば、諦めに近い思いを抱いてしまいました。

    担任は、私にとっても息子にとっても
    とても信頼と尊敬を抱いてる方でした。

    しかし、スッキリしないモヤモヤした気持ちでしたが
    この記事を読むことで気持ちが切り替わる事ができました。

    息子は、今回の実習で
    多くのことを経験し、たくさんの課題を見つけてくるだろう
    そして、何をすべきか考え教え導かれ乗り越えるだろう。
    この大切な機会を親の不安なる思いだけで逸するところだった・・・
    もちろん、本人の中で決着がつくまでの間
    荒れまくる事は当然だが
    荒れまくったって解決しないと
    本人自身に感じさせおりあいを付けさせ
    解決する経験を沢山積ませないといけなかったんだ・・・
    と、思えるようになりました。

    ありがとうございました。
    相変わらずバカ親でした。




  • 名前:eguchi   投稿日時 : 2010.05.12URL
  • 鬼理事長様

    コメントありがとうございます。

    私の記事が、心の整理に役立っているのであれば、よかったです。
    私の記事というか、鬼理事長さんをはじめ、それぞれの保護者の方々の経験が、
    他の保護者の方々の整理に、最も役立つヒントになるのでしょうね。

    今回の記事のお子様は、幼児期のお子様でした。
    どちらが大変かとは、単純に比べられるものではないことは承知の上で、
    恐らく、鬼理事長さんのご子息の経験のほうが大きな壁となることでしょう。
    そして、壁を超えさせられなかった時の衝撃も大きいものでしょう。
    そんなことがわかっているだけに、その決心は相当なものと思います。
    だから、できれば早く、子ども達にとっても負荷が少ない時期に、
    現実に出会う課題を避けずに1つずつ超えていく練習を、
    保護者の方と一緒にできればと思います。
    そして、その時代には、こんなことを考えられる余地がなかった鬼理事長さん達、
    過去を悔やんでも何も変わらない、
    でも、未来は変えられるかもしれない、
    それは、とても曖昧なものだけどやってみようと思われることを、
    私は、心から応援したいと思います。


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