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2009-08-15

セミナーの質問より、シナリオをつくる意味

私たちのセラピーでは、セラピーのシナリオを作ります。
これは、セラピーで何をどのように教えるかを明確にすることで抜け落ちや失敗を防ぐことと、
セラピーが終わった後の見直すことで次回のセラピーをよりよくするために使います。
セラピーを明確にすることとは、子どもに、『何を』、『どのように』教えるのかを表すことです。
例えば、「お絵かき」を教えたいとき。
まず考えることは、『何を』に当たる部分。これは、「お絵かき」ではありません。
なぜなら、「お絵かき」と言っても、いろんなお絵かきがあるからです。
なぐりがき、なぞる、絵描き歌、見本を見て真似る、自分でイメージして描く・・・
また、どんな絵を描くのか、これも大事です。
点々をいっぱい、ぐるぐるうずまき、電車、お母さんの顔、運動会の絵・・・
そうそう、お絵かきに関する子どもの今のスキルを考えることも必要ですね。
クレヨンを描く道具をわかっているか(食べないとか)、クレヨンを適当に持てるのか(右手で持ち左手で紙を押さえるとか)、どれぐらい詳細に線を描けるのか(クレヨンの持ち方とか)、どんな絵が好きか、
目の前にないものをイメージできるのか・・・
あ、お絵描きを阻害する行動の有無にも気をつけたいですね。
手が汚れることを嫌がるとか、お絵かき帳を見るとペラペラめくろうとするとか、クレヨンは絶対に赤とか・・・
こういったことを整理して、子どもにとって少し背伸びしたお絵かきの課題、『何を』を考えます。
次に、『どのように』を考えていくのですが、この時に大事なのは、
自分の言動だけでなく、あわせて、その言動に対して子どもがどんな反応をするかも考えておきます。
こうすることで、実際のセラピーで、子どもの思わぬ言動にどう対応すればいいか迷うことも少なくなります。
(子どもの思わぬ言動は、大人が考えていなかっただけで、
普段の子どもの様子から考えてみれば当然の言動であることが多いのです)
例えば準備、お絵かきをするときにクレヨンとお絵かき帳を用意するとして、
お絵かき帳をペラペラめくって遊んでしまうとか、
全てのページに絵を描きこまないと気がすまない子どもの場合は、
紙を一枚だけ外して使い、お絵かき帳は片付けておきます。
また、クレヨンを口に入れてしまう子どもの場合は、
子どもが自分でクレヨンを取り出してしまわないように、クレヨンの箱を無造作に机に置かずに、
セラピストが持っておく、または、セラピストの手元においておきます。
理想の子ども像で考えずに、そういう状況になったら、うちの子はどうするかを普段の生活から考えて、
セラピストが考えている遊びの流れに、子どもがそうやったら動くかを考えておきます。
それから、子どもに教えるスキルを考えるときは、
まだ、なぐりがきがやっとで絵を描くことは全くできない子どもの場合、
クレヨンを動かすことで絵が出来ることに気づき、それが楽しそうと思ってもらうことが必要なので、
例えば、子どもが好む絵(キャラクター・食べ物・マークなどなど)を思い出して練習しておき、
楽しさをアップさせるために、キャラクターの歌とかマークのCMソングを歌うとか、
そういった盛り上げる工夫も考えておきます。
そして、特に保護者の方々に決めておいていただきたいのは、お絵かきをどれぐらいするかです。
画用紙一枚だけとか、アンパンマンとバイキンマンだけとか、3分間だけとか、
具体的な時間や回数を決めておき、うまくいってもいかなくても、その回数でやめるようにします。
今日はうまくいっているからといって、「もう一枚やっとこう・・・」と、欲張らないことです。
もう一枚欲張ったところで、子どもが崩れてしまうってことがよくあります。

そして、セラピーが終わった後、ここが肝心です。
今日の自分はどうだったか(子どもでなく、自分の教え方がどうだったか、です)、
ここをしっかり見直してください。
この時に活用していただきたいのが、セラピー場面を撮影したビデオ映像です。
子どもが上手く動いてくれたときは、自分のおかげ、
子どもが上手く動いてくれなかったときは、子どものせい、
こんな勝手な大人ばっかりなんで(笑)、真実はビデオカメラに問うしかありません。
まずは、シナリオ通りに自分は動いていたのかチェックします。
クレヨンはラピストが持っておくはずだったのに、無造作に机に置いてしまった。
けど、子どもは触らなかったので予定通りことは運んだ。
これは、セラピストが教えたとは言えません。
子どものほうが何回かのセラピーで、勝手にクレヨンを触らないことを学んでいただけか、
たまたま触らなかっただけです。
何回かの練習の結果、子どもが触らないで待てるようになっているかもしれないことを試すために、
あえて無造作においてみたのであればOKなんですが、計画なく失敗させるのは良くない。
また、たまたま触らなったことも結果オーライかもしれませんが、これが毎回続くわけではないのです。
それから、シナリオ通りに動いていたのに上手くいかなかったことがあったとすれば、
シナリオを組み立てる時点で失敗しているので、何がまずかったのかを考えます。
よくよくビデオを見ていると、必ずヒントがあります。
例えば、アンパンマンが好きだと思ってアンパンマンを描いたら子どもが怒り出した、
結果、お絵描きを教えるどころではなくなったとします。
ビデオを見返してみると、子どもはヤッターマンの歌を口ずさんでいる。
どうやら、ヤッターマンを描いてほしかったらしい。
そう、好きな物って1つじゃないし、好みは変わるし、その日の気分でも変わる。
だとすれば、次から計画は、描きだす前に少し歌ってみて、その時にのってきた歌の絵を描くとかにします。

成功するセラピーというのは、このように、日々、計画→実施→評価ができる体制になっているものです。
これは、どれだけ経験があるセラピストだったとしても同じです。
ただ経験があると、シナリオをつくることが早くなったり、とりこぼしがなかったりします。
頭の中でのシナリオつくりもいいのですが、経験が少ないうちは、ぜひ、文字にして書くことをお勧めします。
文字にすることで適当になっている部分が明確になります(適当だとかけない)。
専門家でなくても大丈夫です。
旅行の行程表をつくるとか、料理のレシピをつくるとか、そういったことと同じです。
いきなり詳細なシナリオが難しい場合は、セミナーで行ったように、
まずは、子どもが好きな遊びを具体的に考えることから始めてみましょう。

あ、療育・教育・保育関係でお仕事されている方は、そのサービスでお金をいただいているわけですから。
(利用者からいただいていなくても、税金という国民からいただいていることをお忘れなく)、
絶対にやらなければならないことだと思います。
どこの世界に、設計書なく家を建てる大工さんがいるでしょうか?
治療計画やカルテをつくらずに治療する医者がいるでしょうか?
そんな適当な仕事でやっていけているのは、この業界だけです。
最近、IEPという言葉をよく耳にするようになったと思いますが、
シナリオの延長線上にIEPは存在するものなので、
日々、こういうことをきちんと考えていれば、そう難しくないはずで、
IEPといわれると困るのは、日々、こういったことを考えずに行っていることの表れです。
とはいえ、今現役で活動されている療育・教育・保育をされている人たちは、
彼らも、また、こういったことを考えていくことを学ぶ機会が少なく臨床に出てきたわけですから、
一概に責めることもできないのですが、ただ、これからは少しずつでも始めていただけたらと思います。

ということで…
シナリオつくりは、結果が見えにくいセラピーをする人が質を向上させるために必ず必要なもので、
でも、それは、そんなに専門的なことではなく、私たちが日常に行っていることと似ていて、
やればやるほどできるようになり、できるようになれば楽しくなることなのです。

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