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2009-05-09

いや

「いや」

Vくんのお家のミーティングに行ったときのこと。
ミーティングが終わると、スタッフはそのままVくんとのセラピーが始まるので、
私だけが先に帰ることになります。
Vくんは、お母さんと一緒に私を1階の玄関まで見送りにきてくれます。

V くん「ママも一緒にかえるのぉ~?」
(お母さんと私が玄関にいるのを見て、ちょっとおどけて言います)
私 「Vくんも一緒に江口先生とこ遊びに行こうよ。」
V くん「・・・」
(無言のままバツ悪そうに、そおっと階段を上がっていきます)
すると、そこでVくんのおばあちゃんから助け舟が入ります。
おばあちゃん「先生(スタッフのこと)待ってるからって・・・」
Vくん「先生待ってるから行けない・・・」
と、私に合わす顔ないようにうつむき加減に言い、2階の先生(スタッフ)のもとへ上がっていきます。
Vくんは、先生とのセラピーをとても楽しみにしています。
ところが江口先生からもお誘いがあり、それを断れなくて困っていたのです。

私に気遣うVくんは、なんて優しくていい子なんでしょうと思われた方、
ここがVくんの難しいところでもあります。
Vくん、たったの5歳なんですよね。
この場面、多くの5歳の子どもたちは、「いや~」と、私に気遣うことなく言ってのけます。
気遣えなくていいんです。
本当は望んでいることではないのに、相手を気遣って自分の思いと違う行動をとる、
これは、私たち大人にとってもですが、自分自身に多少の負荷がかかることです。
だから、その負荷を別場面でうまく消化できるスキルとか、
自分の許容量に合わせて負荷の量を調整できるスキルとか、
こういった部分が育ってからでないと、気遣うがあまりに自分自身がもたなくなります。
もちろん、そんなこと5歳の子どもにはまだまだできなくて当たり前のことで、
でも大人になったときにうまくできるようになるために
(これが上手くできないと、負荷の結果、鬱々としたり攻撃的になったりします)、
大人が負荷量を調整してあげながら、対処の仕方を教えながら練習していきます。

さて、Vくんの話に戻って、なぜVくんは「いや」と言えなかったのでしょうか。
「いや」と言えるぐらいの言葉のスキルは十分に持っています。
発達検査をすれば、かる~く100は超えちゃいます。
ただ、Vくんにとって、「いや」という言葉は悪い言葉で(善悪の悪になってしまう)、
それを言ってしまうと、言ってしまった自分も悪い子になってしまいます。
だから、言えなかった。

世の中の多くの事柄は、絶対的な1つの価値基準で動いているわけではありません。
その時の状況によっていくつもの価値を持ちます。
5歳の子どもにとって、
お母さんが、「もう寝る時間だからテレビはおしまい。」と言われたときに言う「いや」は悪いこと、
でも、大好きな先生とのセラピー時間に、
大して仲良しでない江口先生に「遊ぼう」と言われて「いや」と言えることは、
決して悪いことではなく、言えなきゃいけないことだと思います。

コメント ( 3 )件 | この記事のリンク

  • 名前:ogihara   投稿日時 : 2009.05.12 【URL】
  • なんだかちょっと壊れかけで来はったなぁ…と思っていたら、
    江口先生にうまくあしらわれてたのですね(笑)。
    ちなみに、今日のV君。
    一緒に折り紙でケーキを作っていたのですが、
    (こないだと比べて、どうにも今日のは作るのが難しい、しんどいぞ…)
    と途中から気付いて、
    「先生、これ、V君が作ったら、江口先生が作る分、なくなっちゃうから」
    「先生、今度は、江口先生と作ったらいいよ」
    と言い出しました…。
    負けるもんかぁ!!と決意を新たにしています。
  • 名前:Vママ   投稿日時 : 2009.05.13 【URL】
  • 何かしら考えて、返してきますね・・・。

    返しても返しても、ストレートに打ち返してくる天敵・・・妹です。
    今日も、そわそわしているVに目もくれず、ご機嫌で♪イヤイヤよ~♪と大声で歌っています(^^;)

    Vにとっては、『悪の塊』の存在である妹ですが、私にとっては一番身近な『子供らしい子供』のお手本です。

    どちらも、良いところあり、改善させたいところあり。。。
    やっぱり、「子育ては難しい」ですね(笑)
  • 名前:eguchi   投稿日時 : 2009.05.18 【URL】
  • Vくんなりに、その場をうまく取り繕うと考えているところは、
    その返答がずれていたとしても、とても成長したところだと思います。
    相手の様子を見ながら、その場の応対を考えることが社会性の基本姿勢です!
    何とかしなきゃという気持ちがある子ども達には、
    いろんなことを教えていくことができます。

    大人になるまで、時間はまだまだタップりあります。
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