FC2ブログ

2008-06-04

空白を読め

先日読んでいた本、なかなか面白かった。
著者は映画の字幕を作られている方で、字幕つくりにまつわる色んなエピソードが出てきます。
字幕は、原本のセリフ全てを翻訳して書き出すのではなく、そのセリフが意図していることを日本語で表す、
映画画面の速さにあわせて可能な字数におさめる等々、いろんな制限の中での意訳になるようです
(ちなみに私は、吹き替えより字幕派です)。
ある映画の字幕を作ったとき、ラストシーン、主人公が見つめあうような場面、
原作自体も無言で、読み手がその情景とともに言葉も含めた主人公の気持ちを察するシーン。
もちろん、字幕もないに決まっている。
ところが、映画製作会社のほうは、ここにも字幕を入れてくれ、読み手がわからないかもしれないからと。
そこで著者は思われたそうです。
この空白に意味があり、それを読み取るぐらいの力はあるだろう、いや、なくても磨いて持ってくれと。
パチパチパチパチ・・・
その空白を考えることが、人とのコミュニケーションの醍醐味ではないか。
そうやって与えてばかりいるから、どんどん空白が読めなくなり、その価値もわからなくなる。
目に見えるものしかわからない、目に見えない人の気持ちなんて到底わからない。

セラピーでも同じことが言えます。
話せない、聞けないと思うからかもしれませんが、矢継ぎ早に言葉を投げかける人が結構います。
「ひろみちゃん、お絵かきしよう(と、色鉛筆を出すが、ひろみちゃんは傍にあるお道具箱をあさっている)、
あ、クレヨンで書きたいんやね(いや、たまたまクレヨンが一番上できれいに並んでたからです)、
そうそう、そう赤色がすきなんよね~(目について持っただけで色には興味ないんです)
赤は何の色かな?りんごさんだね~(ひとりボケツッコミか?)
上手!(りんごさんじゃないけどね。なぐりがきって言うものにしちゃ上手かもしれん)
あら、先生にくれるの?(くれるって言うか、投げようと思ったら先生が手伸ばしてきたんだけど)
そう、ありがとう!(礼を言われるほどのことでは・・・投げただけだし)
おりこうやね~(っていうか、その言葉の意味よくわからないんだけど)」

これが映画だったら、おそらく画面いっぱいに字幕が並んで、肝心の映像は全く見えないでしょうね。
字幕で説明すればするほど映像は見えなくなり、しゃべればしゃべるほど子どもの動きは見えなくなる。
どんどん立派な意訳ができあがっていく・・・いや、異訳か。
子どもにとって空白のない音の羅列は、ただただ鳴り響く雨音と同じで(雨音は時として意味をもたらすが)、
まるで無音であるかのように、頭に残る音ではなくなっていきます。
そうそう、大きな声で言おうもんなら、意識的に拒否、思わず耳をふさぎたくなります。
子どもに話かけるときは、空白とともに端的なことばで・・・異訳ではなく意訳を。

コメント ( 0 )件 | この記事のリンク

  • :    :
    :


  • 管理人だけにコメントを見せる

 |  キッズパワーブログトップへ   | 


この人とブロともになる