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2008-04-10

遊びの第一歩

Sくんは、『遊び』が、なかなか難しいお子さんです。
お母さんもセラピストも、Sくんにとって楽しい遊びを考えることに、いつも頭を抱えています。
発達障害がある子ども達の多くは、『遊び』がとても難しい。
何やってものってこない、見ない、笑わない、気づけば両手に物を持ってウロウロとかガジガジとか・・・。
「はぁ~」とため息ついてしまいたくなるその気持ち、とてもよくわかります、が、よ~くビデオを見ていると
(親御さん・スタッフともに、約2時間のセラピービデオを丹念に見返します)、
必ず糸口が見えてきます。それはそれは小さな糸口ですが、でも、そこから何とかするのがプロの仕事。

Sくんの場合、時々、お母さんのリズムに合わせて音声を発する場面があります。
母「いち、にの・・・さん!」(で、カラフルなシートをバサバサ振る) S「さ~ん!」
母「さん、にい、いち・・・パン!」(で、鉄砲玉を飛ばす) S「パン!」
それはそれは、素敵な笑顔でお母さんとアイコンタクトをとりながら言ってくれるのですが、
発音は不明瞭だし、1時間以上、手を替え品を替え遊びを提示し続けて、たったの数回・・・
小さな小さな糸口ですが、これを拾います。
多くのお母さんは、『遊び』と言われると、壮大な『遊び』をイメージされると思うのですが、
『遊び』の発達が幼い(実年齢が高くても)お子さんは、とてもじみ~な遊びを楽しみます。

じみ~と書きましたが、実は、このじみ~な『遊び』が、発達上はとても大事なのです。
1歳に満たない赤ちゃんは、自分の体の動きと感覚を一致させるために、
自分と環境(他者や物)とが異なるものであることを確認するために、
また、環境の中でも反応がある他者(や生物)と物があることを確認するために、
自分の体をふんだんに使って学んでいっています。
発達障害があるお子さんが、他者(他者の意図や感情)がわからないといったことは、
まず、自分自身がわかっていないことから始まっています(自分と自分以外の他者がわかるのは表裏一体です)。
「いち、にの・・・さん!」の『遊び』は、
声を出すことで自分の口(体)周囲の筋肉をどう動かせば、どんな音が出るかを知る
(=自分の体の動きと感覚を一致させ、自分自身をわかる)、
また、お母さんの声のタイミングに合わせることで、自分とは違うタイミングの存在を知る
(=自分と環境(他者や物)とが異なるものであることを確認)、
こういったことを学んでいます。
そして、とても大事なことは、こどもが楽しんでいる(笑顔で、自発的に言っている)ことです。
どうして楽しいかといいますと、音声が一致した時に楽しい活動がやってくるからです。
お母さんやセラピストは、セラピーの中で、音声が一致した時に子どもの要求を叶えたり、
こどもが好みそうな物や活動を提示しています。
こどもにとって楽しいこととは、こどもが普段から自発的に行なっていることや、それに近い物・動作で、
大人が楽しいだろうと思い込んでいることではないことを、どうぞお忘れなく。

セラピーの成功の秘訣は、どこまでも丹念に子どもの様子を観察し、
その観察して得た情報に思い込みを加えずに、科学的に判断することです。
その膨大で大変な作業を当たり前のように笑ってできるのが本当のプロで、
キャリアがあるからと、それをせずして口先でコメントしていく人を詐欺師と言います。
プロであるために必要なことは、資格や肩書きではありません。
時には笑えないこともありますが、コツコツと積み重ねてきているSくんママの努力が『遊び』のプロを作っていきます。

コメント ( 2 )件 | この記事のリンク

  • 名前:ままりん   投稿日時 : 2008.04.12 【URL】
  • こんにちは。
    何度も、何度もこのブログを読みました。

    コツコツとしっかり目標を持って日々頑張ります!
  • 名前:eguchi   投稿日時 : 2008.04.14 【URL】
  • ままりんさん、
    時には大変なことのほうが強く感じることもあるかもしれませんが、
    でも、振り返ってみると、それは一山超えるための一歩だったりします。
    発達は、とても小さくて膨大な量の積み重ねから成り立っています。
    いつか一緒に、それを振り返られる日を楽しみに頑張りましょう!



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