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2008-03-10

『働く』

時々、新聞記事に発達障害がある人たちの就労問題が書かれています。
それらの記事を読みながら、いつも何かしっくりしないな~と思っていました。
「その人たちの能力をいかした、能力に合った適職を・・・」
「発達障害の人たちの職場体験から、彼らにとって働きやすい仕事や環境を・・・」
といったコメントになんです。
過日のある新聞に、図書館で本を元の棚に戻していく仕事の体験をした方のコメントで、
コピーが苦痛だった、イレギュラーな状態の本に戸惑った等のコメントを受けて、
彼らが働きやすい仕事や環境をまとめると書かれていました。
それを改善するという意図で書かれたのかどうかはわかりませんが、
少なくとも私には、そういった細かいことをも拾い上げて、それを改善した職場をと言っているように思えました。
どこまで、彼らに合わせた環境を作り、彼らの元々の能力だけでできる仕事を作ればいいのでしょうか。
異なった個性の障害がある人が同じ職場に複数いたらどうするのでしょうか。
その仕事の仕方で、彼らに快適な生活を送る賃金を渡せるだけの収入をあげていけるのでしょうか。

高齢者が増え社会保険や税金はどんどん上がり、消費世代が少なくなり経済の循環が悪くなりつつ、
また、発達障害がある子どもたちの割合は、軽度も合わせれば10人に1人ぐらい出会うことを考えると、
障害がない人たちだけの力で、障害がある人たちの仕事(生活)も支えるなんて図式は成り立たないことが想像できるでしょう。
なぜ、こんな簡単なことがわからないのだろう・・・
それは、発達障害がある人たちの就労やそれ以前の教育を担っている人の殆どが、
本当の意味で働くということを知らない、経営を知らないことに尽きると思います。
行政の組織だったり、何らかの助成金がなければ経営できない前提の組織が担っている。

神戸市の発達障害教育を仕切っている方とお話した時のこと。
「江口さんらはいいですよね~働いた分だけ楽しみがある(収入が増えるという意味)。僕らは、どれだけ働いても給料は同じだからね。」と。
これを読んでいる民間企業のお父さん、お母さんなら気づいて頂けるかと思いますが、
そうなんです、ゼロからプラスの概念しかないんです。
私らは(民間企業)、確かにゼロからプラスにもいくけど、それ以前にマイナスにいく可能性をいつも考えなくてはならないのです。

それともう1つ、発達障害がある子ども達の能力を軽視しすぎているということ。
それは、教える側にとってはある種都合のいい解釈で、子どもが学べないことは子どものせいにできるということ。
実は、子ども自体には能力があるのに、教える側のスキルが低すぎて本来の力さえ引き出せていないだけなのに。
私たちのHPには、スクールトライアルという就学前の小集団プログラムの映像が載せてあります。
それを見て、何人かの療育の専門家達がコメントをしてくれています(私に直接ではないですが・・・)。
「あれは、高機能の子どもしかできないプログラム」
「発達障害がある子どもたちだけで行っても仕方がない」
初めて会ったときに全く話せなかった子ども達でも、就学準備のプログラムがこなせるぐらいに成長できる、
発達障害がある子どもたちも、そうでない子ども達と同じぐらい集団形成できる(大人とではなく)、
そんなことを知らない、おそらく、そんな成長をする教育をしたことがないんだと思います。

発達障害がある子どもたちの将来を本当に考えるならば、
きちんと収入を得る労働をしたことがある人たちと(収入がマイナスになるかもしれない環境で)、
発達障害がある子ども達を教えたことがある人たちで(子どもの力で伸びただけではなく)、
幼児期の教育から考えていかなければならないと思います。
そして、私たちの力だけで発達障害がある人達の仕事や生活を支えようと考えるのではなく、
彼らにも、また、社会に寄り添っていく厳しさを求めることも必要で、それが教育だと思います。

コメント ( 2 )件 | この記事のリンク

  • 名前:ヨシカワ   投稿日時 : 2008.03.12 【URL】
  • 本当に力強いお言葉 元気を頂きます
    正にその通り
    やったるでーって感じです

    常にアンテナを張って、この子達と一緒に暮らすことを考えています
    何が出来るといいかな?働く10年後ってどんな世界なんじゃ
    その時 の日常行動範囲は 交通手段は何だ??

    出来ないんじゃなくて吸収するチャンスを失っていただけ

    必要なことからちゃんと身につけて、世界を広げれば、ちゃんとやっていけるって信じてます

    すいません
    春の陽気で舞い上がっている私です
  • 名前:eguchi   投稿日時 : 2008.03.12 【URL】
  • ヨシカワさん、いつもコメントありがとうございます。
    この数日は、ずいぶん暖かくなりましたね。
    もう、春ですね~v-252

    発展途上の国を支援する時も、単にお金や物を送るのではなく、
    やっぱり自立していけるように教育や仕事を支援します。
    そうでないと、支援される側は生きる力がどんどん萎えていき、
    そして、支援する側も、そのうち力尽きるからです。
    どれほど適当な教育をしても難しいケースもあると思うのですが、それは少なくて
    (うちにいる子ども達の殆どが、重度か中度判定をもらってきていますが何とかなっているんで)、
    その少しであれば、支援する側も何とかなります。

    そういった先人の知恵を、この業界のヒトもきちんと学んでいかなければなりません。
    どんなに小さなことでも続けて、ある日振りかえると、大きな糧になっているはずです。
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