FC2ブログ

2007-11-07

思春期のトラブル

先週末の勉強会であった話題です。
あるお母さんが、療育の専門家から言われたそうです。
「指示に従わせてばかりいる(療育方法)と思春期に支障がでる」(だから、ある療育方法は止めて、自分達の療育方法にしろということだと思います)。
本題の前に一言。
多くの専門家は、自分達の療育方法以外は認めないので、別の療育方法は全面否定することが多いです。
でも、私は、1つの方法論だけで全てが上手くいくことはないと思います。
人間の発達は、そんなに単純なものではないのです。
マニュアル的に1つの方法を考えようという発想はやめて、教えたことに合わせて様々な方法を取り入れる、
既存のもので上手くいかない場合はオリジナルを考えていくほうが自然だと思います。
こういう考え方に至りにくいのは、療育の臨床を引っ張っている多くの人が研究者だからではないかと思っています。
研究者はある方法を徹底的に究明していくことがその使命だと思いますので、ただ1つの方法論に突っ走るのはありだと思いますが、
臨床者は、子どもに教えるべきことに合わせて、様々は研究者が究明した様々な方法論をうまく使っていくことがその使命だと思います。

と、前置きが長くなりましたが、まず、通常の発達において思春期のトラブルというのは当たり前の話と思いませんか?
思春期のトラブルという言葉が指している多くの問題は、自分自身と環境との摩擦だと思いますが、
この摩擦のおかげで、自分自身の感情のコントロールとか相手の立場になって考えるとか、
対人関係をうまく行うために必要な機能が成長していくのだと思います。
こういう機能は、脳の中でも前頭葉が中心となってコントロールされるといわれています。
で、この前頭葉の発達はゆっくりで、おそらく思春期あたりに大きな発達課題があるとも考えられています。
今まで周りの大人から言われてきたことが自分の価値観だったのが、
そうではなく、自分自身の価値観が確立されてきて、それが周りとそわないことにも気づき、自分自身と環境とのズレにもがいている。
これって、とても大事なことだと思います。
私たちは、自分自身の価値観があって、それとは多くの場合異なる環境といつも折り合いをつけて生きているわけです。
それを、思春期以前の子どもができなくて当然で、でも、それができるようになっていかないと社会生活が難しいのも事実なのです。
といったことで、子どもたちは社会生活を営むための折り合いを試行錯誤している最中、それが思春期のトラブル、
成人式みたいなもんで、とってもめでたいことなんです。
大人からみて、子どもに何か変化が生じていると感じたとき、
それは多くの場合、単に、「子どもが今までと違う、何かが変わった」だけの場合が多いです。
悪い形に変わったのではなく、今までとは異なる形に変わっただけなんですが、
今までと異なる形になったときに、あたかも悪い形になったと思いがちです。
それは、今までの価値観=「正しい」だったものだから、今までと異なる価値観はその反対、つまり「悪い」になってしまうからでしょうね。
また、その変化はnegative な行動で表されることが多いため、周りとの大人はトラブルが起きているように見えるのでしょうね。

ということで、思春期のトラブルは通常の発達をしていれば当然でてくるものだと理解していただき、
少し気にしておいてほしいことがあります。
こういった時期に到達して、うまく課題を超えていくために幼い時期に教えておきたいことがあります。
それは、やっぱりコミュニケーションの基本的な形です。
単に言語を話せはいいということではなく、伝えることと思い通りになることは別ということと、他者の意見を受け入れられるということです。
前者は、要求言語を教えるだけでなく断られることを教えておくこと、
後者は、人の指示や手助けを受け入れることを教えておくことです。
これらが教えられていない子どもたちが思春期になったときにどうなるか、それはそれは大変なことになると思います。
思春期は、自分と環境(自分の思い通りにならないこと)との摩擦です。
今まで要求を断られることを練習していない、しかも力や体が大きな子どもがその場面に直面したときにどうなるでしょう。
子どもにとって悩ましいこの時期に、周りの人からのコメントや手助けを全く受け入れられないとどうなるでしょう。

思春期のトラブルの正体は、幼い頃に適当な教育を受けさせてもらえなかったために、
思春期の発達課題を自分で越えるために必要な道具を持ってない子どもたちの心の叫びであると思います。

コメント ( 0 )件 | この記事のリンク

  • :    :
    :


  • 管理人だけにコメントを見せる

 |  キッズパワーブログトップへ   | 


この人とブロともになる