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2013-01-26

アシスタントの役割

ある社会福祉法人の方が、こども塾(小学生向けソーシャルスキルクラス)を見学にいらっしゃった時のこと。

「こども達は、先生役とアシスタント役の両方から声をかけられて混乱しないのですか?」

ズバリ…混乱しません。正確に言うと、私たちのこども塾では混乱していません。
彼らは、「先生」と言えば、クラス担任をしている寺口に向かいます。
作業が終わって指示を聞くため、できた課題を提出するため、やっていいか確認するため、
このクラスで指示・報告・確認等が必要な場合は寺口を見たり、寺口に聞きます。
では、アシスタントとは、どんな時に関わるのか。
例えば個別学習時間、わからなかったら○○先生(担当アシスタント)に聞いてと事前に言われている場面では、
(もちろん、アシスタントがどこまで、どのように教えるかは事前に打合せされている)
それぞれのアシスタントに教えてもらいます。
でも、全体の開始や終わりの合図や最終的なチェックは、担任の寺口の指示で動きます。

集団療育をする時にとても大事なのは、支援する側のチームワークです。
そのためにはメンバーが、それぞれのこどもの課題と集団の課題を理解し(メンバーのベクトルを合わせます)、
それに応じたリーダーとアシスタントの役割を把握しておくことが大事です。

先日、小学校の特別支援学級で指導をさせていただいていたときのこと。
数名のこどもに、担任が1人、それぞれのこどもにアシスタントがついています。
担任が説明している時に、その説明にかぶせるようにアシスタントが説明をします。
担任が体操をしている時に、アシスタントがこどもの前でニコニコしながら体操をしています。
こどもが課題に従事している最中に、アシスタントが横で「うん、うん」と声を出して頷き、
時折、大きな声で誉めています。

さて、こどもは誰に注目し、誰の指示を聞き、最終的には誰と一緒に行動しなければならないのでしょう。
アシスタントは、こどもと自分が一緒に活動することをアシストするのではなく、
担任とこどもが一緒に活動できる(アシスタントがいなくなっても)ことをアシストするためにいます。
だから、アシスタントは、担任が指示(口頭でもモデルでも)している時は、
決して、自分自身は指示を出しません。
すべきことは、担任に注目するように促すことです。
こどもが課題に従事している時に、それを妨げるような声などの刺激(誉めてても)は出しません。
誉める、叱る等のフィードバックは、このクラスのジャッジ権がある担任がします。

想像してみて下さい。
舞台を見ている時、黒衣は、役者がセリフを言っている傍でセリフを言わないし、
観客が役者の演技に見入っている時に相槌を打ったり感想を言いません。
できるだけ、役者と観客の間にうまれる世界観に影響しないように振る舞うことが、彼らの役割です。
それぞれのメンバーが、その集団やこども達の目的を理解し、それぞれの役割を全うしてはじめて、
集団による教育の効果はうまれます。


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