2013-04-09

入学式の思い出

先週末から今週にかけて、入園・入学式を迎えられた方多いですよね。
Kid’s Powerのこども達も、今週は、この話題がたくさん出てきそうです。

さて、今日は、数か月ぐらい前から私が面談している高校生男子の入学式の話です。
(診断はついていませんが発達障害の疑いがあります)
入学式のその日が、私との面談の日でした。
入学式を含め、新しい学校・クラスメイトの様子等を話してもらうと、
男「え~っと、長い話があって、弁当食べて、後は、担任とか生徒が自己紹介しました。」
私「ふ~ん、どんな子がいたの?」
男「わかりません…」
私「隣の席の子は、どんな子だった?」
男「不良っぽい、ヤンキーっぽい男子でした。」
私「不良っぽいって、どんなん?」
男「こんな髪で…」(髪を逆立てたような手振りをする)
私「へぇ~そんな感じかぁ」

男「あと…ネコと遊びました。この腕時計プラプラすると寄ってきて…抱っこしたかったけどガラス越しなんで触れませんでした(学校で飼育されているネコ)。」(ネコ好きで満面の笑みです)
私「へえ~どんなネコ?」
男「これぐらいの大きさで、茶色に金色が混じったフサフサした毛で、抱っこしたら気持ちよさそうで、『ミャー』って感じの声で、ライオンのこどもみたいなんで僕は『ライオンくん』って呼んでいる。オスかメスかはわからない。」
私「ふ~ん、かわいいねぇ」

私「今日の入学式で一番のことと言えばさぁ…」
男「やっぱり、ネコちゃんですかねぇ~」
私「そうよねぇ~」

私の期待を裏切らない彼の入学式の思い出は「ネコ」。
何も問題はありません。
ただ、これから社会で自分も周りも心地よく生きていけるために教えることがいくつかあります。
①実は、入学式の思い出と言えば、ネコ以外のこと(例えば、担任やクラスメイトが誰とか、どんな格好して行ったとか、式典中の様子とか、家族にお祝いしてもらったとか)の人が多いということ
②だから、人前で入学式の思い出がネコであることを話すと、少し驚かれるかもしれない(なので、前置きをするとかスキルを教えます)
③でも、入学式の思い出がネコであることは間違いではなく、ネコでも、ネコ以外でも◎(なので、自分の話を聴いてもらったり、相手の話を肯定的に聴く練習をします)

ソーシャルスキルとは、いろんな価値や考え方がある人達が互いに心地よく過ごすためのスキルであって、
価値や考え方を変えるためのものではありません。
だから、彼の思い出がネコであることを変える必要はないけれど、それが周りの人からどんな風にみえるとか、
そう言う時にどんな行動をすればいいのか練習すればいいのです。
また、その行動が、自分が認めてもらうためだけでなく、相手のことも認めていると思ってもらえるような行動であることが大事です。
互いに心地よくないと、本当の意味での人との関係は長続きしませんからね。

ちなみに私は、入園・入学式で覚えていることは1つもありません。
全て参加しているはずなのですが、ネコに匹敵する思い出すらありません。
式典のようなイベントは、あたかも人生を彩る大きな出来事のような気がしてしまいますが、
実は、日々の生活の積み重ねに比べれば、人生において大したインパクトはないのかもしれないですね。


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2013-03-16

ババ抜きのツボ

療育(教育や保育であっても同じだと思いますが)をする時、
療育者は、こども達に何(課題)を教えるのか具体的に描いておくことが大事です。
ゲーム活動は、集団でも個別療育でもよく使われますが、その活動を通して、
こども達に何(課題)を学ばせたいでしょうか。
それによってゲームの種類、メンバー構成、ルール調整等、より課題が獲得できるように変わってきます。
私たちの場合は、そのゲームの中でのコミュニケーションとソーシャルスキルです。

例えば、トランプのババ抜き。
・自分がカードを引く時は、まず相手を見て、相手が手札を差し出しているのを確認してからカードを引きます。
相手がまだ準備ができていなかったら(例えば、カードを揃えているとか)待ちます。
相手が気付いていなかったら(例えば、他の物に気を取られているとか)、
「○○さん」のように呼び掛けて注意を戻したりします。
・自分がカードを引かれる時は、相手が自分の方を向いたら(引かれる順番がきたら)、
相手の顔を見ながら手札を差し出します。手札の差し出し方どうでしょうか。
余り低い位置で差し出すと相手のカードの中身が見えてしまいますし、高過ぎても届かないし、
また、相手の顔のまん前だったりすると相手に不快感を与えることもあります。
ちょうどいい位置ってあるんですよね。
・上記2点ができようと思うと、自分が絡んでいない時はどうしたらいいでしょうか。
3人以上で行う場合は、自分は待つだけの時間があるのですが、フラフラ歩きまわったりボーっとせずに、
カードがやり取りされているのを目で追って、自分の番を待つんですよね。
・勝ち負けが決まった時、どんなコメントするでしょうか。
「勝ったのは誰?」なんてセンスのない質問は止めましょうね。
「一緒にやってたのに見てなかったん?」って、こども達に突っ込まれますよ!
通常こども達がゲームで勝った時には、「やった~」「オレいっちば~ん!」とか、
負けた時には「チェッ」「もう1っか~い!」とか、そういうコメントしますから、それを教えます。

ババ抜きで教えるスキルの一部を書いてみたのですが、たかがババ抜きでも、いろいろありますよね。
最初の3つの非言語コミュニケーションスキルは、例えば、おしゃべりする時には必須ですよね。
適当に会話に入っていけるためには、その話の流れを追っていき、周りの人の非言語を読みとりながら、
自分が話し始めるタイミングをとっていくのですが、ババ抜きに動きは、その基本的型ですね。
単に順番通りに動くのではなく、どういう自分や相手の動き(非言語)をヒントにタイミングをとればいいのか、
それを療育者が具体的にもっておけば、使えるスキルを教えていくことができます
(療育場面ではできるのに実生活ではできないのは、ここが落ちているからです)。

療育って、考えれば考えるほど奥深いのですが、考えた分こども達ができることは増えていきます。

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2013-01-11

「ごめん」の練習

年末年始、実家に帰省していたときのこと。
従兄弟が3年生と3歳のこどもを連れて遊びにきました。
私の親類には、このところ幼児期から学童期のこども多く、ついつい色んなことを試してみたくなります(笑)。
こども達も遊び相手をしてもらったことはよく覚えているらしく、
今日は何をしてくれるのかと期待の目で寄ってきてくれるのですが、
三が日は、テレビの前で駅伝に浸りたい私にとっては複雑な心境です。

さて今日は、3歳のあっくんのおはなし。
いつもセラピーでもすることですが、ちょっとタメをつくって絡んであげると、
それはそれは楽しいようで、部屋の中をかけ回って喜びます。
遊んでいるうちに楽しくなりすぎたようで、勢い余って部屋の障子に足を突っ込んでしまいました。
その瞬間、3歳ながらにまずいと思ったようで、ハッとした顔をして両手で頭を抱えています。
そして、大人たちがいる方をチラッと見上げます(チラッと人の方を見る動き、大事ですね~)。
あっくん母親が、「もう!ダメでしょ!おじちゃん(私の父のこと)にごめんなさいは!」と、言いますが、
あっくんはモジモジしたまま、その場に突っ立っています。
すると、ほろ酔いのおじちゃん(私の父)が、「どうしたんや、かめへん、かめへん。」と、ニコニコしながら言います。

小さなこどもがいれば、よくある光景です。
こんな時、皆さんは、どうしたらいいと思われますか。

私は、モジモジしているあっくんを呼び寄せ、真顔で「おじちゃんに、ごめんって言い」と、言います。
酔っ払いのおじちゃんは、相変わらず、「大丈夫、大丈夫~」と、ヘラヘラ顔ですが、
そんなことは気にせずに、あっくんの「ごめん」を待ちます。
ちょっと時間はかかりますが、何とか、「ごめん」と言えたところで、
「じゃあ、次は、こっちで(障子がない部屋で)よ~いどんしようか。」と、ニッコリ顔で迎えます。
すると、あっくんもニッコリ顔で、「うん。」と、ついてきます。

この年齢のこども達は、社会的な振舞いを頭で理解し、理性でコントロールするのではなく、
日々の生活の中で起こる出来事の中で実際に振舞いをして、行動することで、体で覚えていきます。
だから、親類同士だし、こどものすることだしと何もさせずに終わらせてしまうのではなく、
身内同士で失敗していい場面だからこそ、本来すべき振舞いをさせて(「ごめん」と言う)、
次に同じように失敗しないでいいように代替行動(障子がない部屋で遊ぶとか)を教えてあげるといいと思います。

そんなことしなくても、「ごめん」って言葉を覚えれば、物事の善悪がわかるようになれば、
自然とできるようになると思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
人は、人と関わる時に様々な感情を伴います。
知識として理解していても、スキルとして獲得していても、
それが必要な場面でできるかどうかは、その場面に起こる感情と折り合いをつけてできるかなんです。
例えば、普段は流暢に話していても、同じことを1000人の前で話してと言われると、
いつも通りに話せないのと同じです。
それからもう1つ、発達が幼いと、そうでない時期に比べると、さっきまでの感情で出来事を忘れることができます。
忘れることができると切り替えやすく、私に叱られても次の瞬間、また遊べるのです。
こういう時期だからこそ、厳しいこともタフに教えていきやすいと思います。

人の発達、とくに社会性は、定型発達のこども達にとっても手間がかかるスキルです。
アルコールを吸収し過ぎた酔っ払いのおじちゃんには殆ど余地がありませんが、
スポンジのような吸収力がある幼児期のこども達は、教えられた通りに学んでいきます。
発達に魔法はありません。
普段の生活の中で、地道に積み重ねてあげてほしいと思います。


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2012-11-15

飽きたなんて言わないで!

先日、小学1年生の男の子のお母さんと個別相談をしていたときのこと。
初めてのお葬式で参列している場面で「飽きた」、
図書室の選んできた本を見て「飽きた」、
何となく気持ちはわかるんだけど、なんかちょっと違和感がある言い回し。
恐らく、
初めてのお葬式で参列している場面で「退屈」、
図書室の選んできた本を見て「つまんない」、
だと、ぴったりくるのではないかと思います。

こういうこと、発達障害があるこども達にはよくあります。
大体伝わるからいいじゃないと思われるかもしれませんが、
伝わっているのは情報だけであって、その情報と一緒に伝わるはずの感情はずれます。
ニュアンスがわからない、伝わらないというのは、大体の情報はわかるけど、
それに絡んでいる感情がわからないということなんですよね。
そして、人が人と生活するうえでは、この感情の部分がとても大事なのです。
単に業務をこなすだけなら情報だけでいいのかもしれませんが、
それを互いに気持ちよくこなすには、感情という部分が重要な役割を果たすのです。
と、少なくとも私は、そう思っています。
そして、私がみているこども達にも気持ちよく過ごして欲しいし、
また、彼らの周りの人達を気持ちよくさせる、愛される人に育ってほしいと思っています。

そこで、練習を考えます。
まず、私たちは、何を基準に使い分けているのか、それを考えます。
「飽きた」という言葉は、それが単に嫌なだけではなくて、
それを繰り返し、何度も行ったうえで嫌になった場合に使うんですよね。
だから、初めてとか滅多にないお葬式に参列した途端言わないし、
図書館で今手に取ってきたばかりの本にも使わないのです。
そこで、その繰り返しか否かの両方を設定をした練習場面をつくります。
まず、ワークシート等で練習問題として行ってもいいのですが、
それだけではコミュニケーションとして使えるようにはなりません。
必ず実際に感情が伴う場面設定をして練習します。
教科書で単語や構文をたくさん覚えても、英語圏の人を目の前にしたら目を反らすのと一緒で、
紙面でできることと、人前でできることは、違うスキルなのです。

最後に、最も大事なポイントをお話ししておきます。
この課題を達成するためには、そんな面倒くさいことやってまでも、
こどもが、人と一緒に過ごしたいと思っているかどうかにかかっています。
私の講演には毎回でてきていると思いますが、ここを積んでおくことを忘れませんように。

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2012-10-29

楽しく折り紙

楽しく折り紙

ソーシャルスキル、コミュニケーション、学習、体の使い方…
こども達に教えたいことはたくさんありますが、それらを教えるための土台となる遊び、
これをいかにこどもにとって楽しくできるかが、上手く教える秘訣です。
さて、楽しい遊びの要点は2つ、夏のセミナーでも再三お話ししていることですが、
大事なことなので、ここでもう一度、おさらいしてみましょう。

 ①遊びの中にこどもにとって楽しい要素がある
 ②できる・わかる遊びの流れになっている

以上の2点が抑えられていれば、どんな遊びでも必ず楽しくなります。
お子様が、今まで楽しんでなかった遊びでも、その遊びそのものが楽しくない場合は少なくて、
①か②のどちらかに工夫が足りなくて、楽しくない場合が多いです。

今日は、折り紙について考えてみたいと思います。
4~5歳児さんだと、幼稚園や保育園の活動でもよくみられますし、
手先の練習のためにも、とてもいい活動だと思いますので、チャレンジしてみて下さい。
まず①について。
これは、「職人のおもちゃ箱」にも具体例が掲載されていますので、ぜひ、参考にして下さい。
http://www.kids-power.net/main.php?ID=58&cID=7(記事の一番下にあります)
事前に大人にも練習が必要になりますが、こどもが好む物、または、遊べる物を作ることですね。
例えば、最初は作品にならなくても、折り紙に慣れることから始めて、
折り紙をちぎって紙吹雪にしたり(指先でちぎる練習)、
二つ折りにした折り紙にお菓子を挟んで食べる(二つ折りの練習)、でもいいと思います。
また、お母さんが作ってあげたもので遊ぶとこから始めて、部分的にこどもに折らせる箇所を作ってもOKです。
次に②について。
こどもに折らせる場合(部分的にでも)の工夫ですね。
右手と左手で紙を持つ、合わせる、押さえる、折り目をつける等、色々な動作があります。
この時に、紙のどの辺りを持てばいいのか、どこに焦点を当てて見ればいいのか、
どことどこを合わせればいいのか、どこからどこまでなぞればいいのか(折り目をつけるために)、
こういったことを具体的に教えてあげると、できる・わかる活動になります。
教える時には、言葉で説明するのではなく、手を添える・見本を見せる・指差しをする等、
具体的な動きで教える方がいいです。
幼児期のこども達は、定型発達でも、言葉の力は未熟ですから、新しいことやわからないことを、
言葉だけで理解するのは、とても難しい学習のやり方です。
できるたけ見本を見て真似る学びかたがいいと思いますが
(園や小学校でも、見本を見て真似る教え方は多いので、そういう学びかたに慣れるためにも)、
その時の注意事項を書いておきますね。
まず、見本を見せる時(説明の時)、こどもの手から折り紙を離させます(手に持っていると、見本の途中から折り始めるからです)。
そして、こどもが見本を見ていることを確認してから、見本を見せます。
見本を見せる時には横並びで(向かいから見せると手や折り紙の左右が逆になりわかりにくい)、
1工程ずつ見せます。
また、折り紙のどの辺りを持つか(右端か、中央か、上端か等)は、
それを見てても、そこがポイントだとは気付きにくいので、できない場合は手を添えて教えて下さい。
それから、角と角を合わせる時には、折り紙のどの辺りに注目すればいいのか、
大人が見ている箇所を捉えることも難しいことが多いのですが、
指差しで示したり、重ねる角と角に印をつける等すると分かり易くなります。

こんな感じで、楽しい要素があり、できる・わかる活動になるような工夫をしていくと、
これまで嫌いだと思っていた活動も、楽しい活動に早変わりすることも少なくありません。

そうそう、お母さん(大人)のsmileも忘れずに。
眉間にしわを寄せながらはダメですよ

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